試合の日に、こんな経験はないでしょうか。

お腹が重くて動きが鈍い。後半になると急に足が止まる。終わったあと、次の日まで疲れが抜けない。

どれも、体力や気持ちの問題にされがちです。でも実際には、食べ方のタイミングで説明がつくことがかなりあります。しかも直しやすい。ここでは前日の夜から試合後までを、順番に見ていきます。

前日の夜にやることは、ためること

体を動かすときの主な燃料は、糖です。ごはんやパン、麺から入ってきた糖は、グリコーゲンという形で筋肉と肝臓にためられます。試合中はここを使って走ります。

だから前日の夜は、いつもより主食を少し多めにします。ごはんをもう半膳、うどんをもう少し。おかずだけ増やしても燃料は増えません。

逆に、前日に避けたいものもあります。揚げ物などの脂っこいもの、生もの、辛すぎるもの。それから、食べ慣れていないものです。

脂は消化に時間がかかるので、翌朝までお腹に残ります。生ものと食べ慣れないものは、当たったときの損が大きすぎます。試合前日は、新しい挑戦をする日ではありません。

寝る時間も燃料のうちです。睡眠が足りないと、同じ量を食べていても体は回復しきりません。

当日の朝は、逆算で決める

試合当日の食事は、時計から逆算します。

目安は、試合開始の3時間から4時間前に食べ終えること。食べたものが胃を通過して、走れる状態になるまでにそれくらいかかります。

朝9時開始なら、5時か6時に朝食です。早いと感じるかもしれませんが、ここを削ると空腹のまま試合に入ることになります。

内容は消化のいい炭水化物が中心です。ごはん、餅、うどん、食パン。おかずは卵や鶏肉のように脂の少ないものを少し添えます。

朝から食欲が出ないという人は珍しくありません。その場合は無理に固形物を詰め込まず、おにぎりを小さく握る、汁物にする、バナナと牛乳にするなど、入る形に変えます。ゼロで臨むのが一番よくありません。

直前の1〜2時間は、少しだけ足す

朝食から試合まで時間が空くときは、開始1時間から2時間前に軽く足します。

おにぎり1個、バナナ1本、カステラ、ゼリー飲料。このあたりが定番です。量は多くなくていい。目的は満腹になることではなく、燃料を切らさないことです。

30分前になったら固形物はやめて、飲めるものに切り替えます。スポーツドリンクやゼリー飲料で十分です。

水分も忘れずに。のどが渇いてから飲むのでは遅く、そのときにはもう軽い脱水が始まっています。試合前の時間から、こまめに口をつけておきます。

夏場や、汗をたくさんかく競技では、水だけでなく塩分も一緒に取ります。水分だけを大量に入れると、かえって体調を崩すことがあります。

※出典: 公益財団法人日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」

試合と試合のあいだ

一日に何試合もある大会では、ここが差になります。

試合が終わるたびに、糖分と水分を入れます。次の試合まで2時間以上あるなら、おにぎりやサンドイッチのような軽い食事。1時間しかないなら、ゼリー飲料やバナナ、飲み物にします。

やってしまいがちなのが、「次があるから」と何も食べずに待つことです。燃料は使えば減ります。減ったまま次に入れば、当然動けません。

食欲がない状態で無理に固形物を入れると気持ち悪くなるので、そういう日は飲めるもので回すと決めておくと迷いません。

終わったあとの30分が、次の日を決める

試合が終わった直後は、体が材料を取り込みやすい時間です。ここで何を入れるかで、次の日の体の軽さが変わります。

入れるものは2つ。使った燃料を戻すための炭水化物と、傷んだ筋肉を直すためのタンパク質です。

おにぎりと牛乳。パンとヨーグルト。バナナとプロテイン。組み合わせは何でも構いません。大事なのは、帰ってから夕食まで待たないことです。

家に着くのが2時間後なら、その2時間は何も直していない時間になります。カバンに1つ入れておくだけで、この空白は埋まります。

そして、その日の夕食はしっかり食べます。試合の疲れを抜くのは、練習ではなく食事と睡眠です。

※出典: International Society of Sports Nutrition Position Stand(nutrient timing/protein and exercise)

試合の日だけ頑張っても、体は変わらない

ここまで書いておいて言うのも変ですが、当日の食べ方でできることには限りがあります。

当日の食事は、持っている力を出しきるための調整です。持っている力そのものを大きくするのは、残りの364日のほうです。

体が大きくなる、当たり負けしなくなる、後半まで動ける。そういう変化は、毎日の食事が積み重なって初めて起きます。試合前日に食べたごはん1杯で筋肉は増えません。

そして、その毎日のほうがずっと難しい。練習で疲れて帰ってきた日、食欲がない日、家の人が忙しい日。そういう日に一食抜けることが、半年後の体格の差になります。

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部活から帰ってきた本人が、自分で用意して食べられること。ここを一番大事にしました。

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覚えておくとよいこと

前日は主食を少し増やして、脂っこいものと食べ慣れないものを避ける。当日の食事は試合の3〜4時間前までに終える。直前は軽く、飲めるもので。試合のあいだも切らさない。終わったら30分以内に炭水化物とタンパク質を入れる。

全部やろうとしなくて構いません。ひとつだけ選ぶなら、終わった直後の30分です。ここを埋めるだけで、次の日の体が変わったと感じる人が一番多い場所です。

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